全てのYESをNOに変える、能力や可能性を壊す伝え方とは
「宿題やりなさい!
Aちゃんはいつもそうね
本当にだらしないんだから
お姉ちゃまはもう全部終わって
ピアノの練習も済ませて
明日の学校の支度まで終わったのよ?
Aちゃんて
どうしていつもそうなの?
ダメな子ね!!!
あなたのために言ってるのよ」
…と言われて
「あっそうだね!いっけない
私って何てダメなの?
お姉ちゃまみたいに
早く明日の支度まで済ませちゃお〜っと
ママが、しっかり伝えてくれて
助かった…ママって優しいな
ためになる事しか言わないし
本当に私ってダメな子だから」
と瞬時に反省し、行動も正し
気持ちを切り替えて過ごせるお子さんが
もし居たら
みてみたいですよね。
これは
全てのYESをNOに変えてしまい
能力や可能性を壊す伝え方
…恐ろしいですね。
心理学では
このように好ましくない事や状態を
マイナスしていく
コミュニケーションを
Negative Reinforcementー負の強化
と言いますが
簡単に説明すると
車に乗った時、シートベルトを着用しないで
運転しようとするとアラームが鳴り続ける
聞きたくないからシートベルトをしよう
という行動
つまり欲しくない刺激をマイナスしていく
引き算の心理。
こんなお小言聞きたくない!
と思ったお子さんは仕方なく
お母さんの言う事を聞きますが
頭の中では
うるさいなあ
いつもガミガミ
言ってくるんだよね
ママって。
今やろうと思ってたのに
うるさいからやるけど
言い方変えられないのかな〜?
だから大っ嫌い!
ってか暇?
とか考えたりしています。
さて、お母さんがいない時も
このお子さんは
宿題をする様になるのでしょうか?
答えはもちろんNO
うるさいアラームが鳴り続ける事が嫌で
それを止めるために仕方なく動いただけ。
ただの反応であって
心は動いていません。
行動を強要せず心を動かそう。どんなNOもYESになる魔法のポイント4つとは
ではどんな伝え方をすればAちゃんは
自発的に動いたのでしょうか?
どんなNOもYESにする
魔法のような4つのポイントがあります。
まず最初に以下の1〜3を
お子さんに理解して貰います。
1.必要行動を、するしないの選択肢はない事
2.必要行動を、する事のメリット
3.他に選んでも良い選択肢がある事
・・・これらをした結果
本人がその行動をできたら
4.すかさず具体的に褒める←非常に重要
どういう事かというと、、、
1.必要行動をする、しないの選択肢はない事を伝えよう
宿題したくない!!
ここで議論をすればするかしないかの
せめぎあいになります
ここでは、宿題はする必要があるのか
それとも無いのか、という視点では考えず
「する必要」がある事を前提とします。
する必要がある行動については、
議論の余地を持たせない。
これに尽きます。
「したくない」
理由はきっと、いくつもあり
それを聞く事を始めると
議論の場を作る事になりますが
ここに割く時間は、親にも子にも
何も産み出しません。
つまり、
親にとっても、子にとっても無駄。
「したく無い気持ちはよく分かりますが
この宿題はあなたに
『やってくる様に』
と出されたもの、私と議論する事は無意味、
あなたが行う必要があります」
と、本人に伝えると良いです。
やりたくない事を主張するなら、
せめて学校で、その宿題を出す
張本人である先生に
宿題をやらなければならない
お子さんが、そう伝えるべき。
家庭内で、やる、やらないをお母さんと
議論する事が無意味である、とだけ伝えましょう。
揉めたり、責めたりする必要はゼロです。
論点がずれない様に物事を
元に戻すだけ。
2.必要行動をする事のメリットを伝えよう
さて、ここまでで既に
宿題は「する必要のある事」と
理解してくれたお子さんですが
次に、
宿題をする事のメリットを伝えます。
ー先生や友達に信頼して貰える
ー成績が上がる
ー親に褒められる
等の短期的目標や
ー良い進学先に進める/仕事に就ける
ー高い給料が貰える
ー欲しい物が買えたり良い暮らしができる
等の長期的目標を
宿題をする事のメリットとして
先にビジョンを見せておく必要が
まずはあります。
1.で伝えた様に、議論の場を作らない事で
親は譲らないんだな、と思えば子は
宿題はやるもの、として必ず
やってくれるようになりますが
宿題をしなければならない理由を
伝えられていないと、する気が起きません。
宿題をする事でどんな良い事が起きるのか、
伝えてあげる事が大事ですね。
3.他に選んで良い選択肢がある事を伝えよう
1.や2.の伝え方を行うと多くの場合
すんなり宿題をしてくれるようになり
ここまでで既に魔法のよう…
と、言っても良いのですが
宿題も習慣になるまでは
「する」と決めても
行う事自体が苦痛になる場合も。
逃げ場がなくなると人は苦しくなります。
そこで、
他に選んでも良い選択肢を与えますが
この時大切な事として、その選択肢は
何を選んだとしても
親の負担にならない様にするとよく
宿題をしたらアイスを買ってあげる
→毎回の出費になり子の体にも良くない
ので避け…
例えば普段は使う事が許されていない
質の良いシャープペンシルを
宿題用にとっておき、使っても良いとする。
せっかく質の良いご褒美のはずの
シャープペンシルも
「このシャーペン
使っていいって言ってるんだから
宿題しなさい!!!」
と言ってしまえば意味がなくなります。
本人に選択権を持たせ、使わなくても良い
つまり本人の自由、としましょう。
自由になる部分がある事は
しなければならない事をやり遂げる時の、
心の励みになります。
あなたが子どもの時
宿題って楽しかったですか?
夏休みの最後の日に
泣きながら済ませた人も
少なくないのでは
ないでしょうか。。。
そんな苦行を行う
勇敢なお子さんのために
必ず自由の部分を
残しておいてあげましょう。
救いになります。
4.必要行動ができたら、すかさず具体的に褒める
1-3までができたら褒めましょう。
ここで注意する事は
適当な褒め方をしない事。
自分を適当にしか評価していない、
とお子さんはすぐに気づきます。
宿題というきっと、誰も
したくない行動をあなたの魔法の言葉で
すっかりやる気になって
文句も言わずにしてくれたお子さん
…偉いですよね
ここは惜しみなく
しっかり褒めましょう。
【褒め方例】
「あなたの選択肢は正しかったわね
あのシャーペンを使って書くと
集中できるのね、あなたは自分の事を
本当によく分かっているのね、
感心しました。
それに、こんなに集中して
宿題をこなすなんて
簡単な事ではないのに
私は実は最初から、あなたには
できると思っていましたが
今では、凄く誇りに
思っているばかりか
感動で涙が出そうです」
…の様に、大げさかなあ?
と思っても
惜しげなく
かなりドラマティックに褒めます。
言葉には、具体性が必要で
一般的な言い方はしないことも
ポイント。
こんなにまでも褒めて貰えるなんて
ひょっとして、あたしってすごい事を
成し遂げたんじゃないの?
だったら最初から、嫌がらずに
やっておけばよかった
信頼されているだけじゃなくて
あたしの事、こんな風に
思ってくれてるんだ…
と、次の日のやる気にも繋がります。
心が動けば
YESは自然と出てきます。
このお子さんは明日からは
自分から率先して宿題をする様になります。
心が動けば、体が動きます。
最初の伝え方では
ガミガミ言われるのが嫌で
Negative Reinforcement
ー負の強化から
ただただ、自動的に手が動いただけ
つまり動作を強要されたのです。
※注 Negative Reinforcementは
決して悪者ではなく、必要な時もあり
シートベルトはその例ですね。
「シートベルトを
してくれたあなたを
私は素晴らしいと思います!!」
と、ナビが感動的に話すより
多くの人の命を守るため、
あの音とランプは必要。
現に、教育の現場でも安全対策の場合
Negative Reinforcementー負の強化
はよく使われます。
さて、後者の伝え方では
心が動いたばかりか
親子関係に、信頼と感動すら産まれ
もう、宿題をしない理由が
このお子さんには無くなってしまいました。
心が動けば
宿題という全子どもの嫌がる
全てのNOがYESに繋がり
人間関係も良好に進みます。
この様な行動の促し方を
Positive Reinforcementー正の強化
と、言いますが
心理学で出てくるポジティブ、ネガティブ
の言葉には
私たちがイメージする様な
ポジティブ=前向きで良いこと
ネガティブ=後ろ向きで良くないこと
という意味は含まれません。
(説明が長くなるのでここでは省きます)
時にはアイスもいいでしょう。
ただ、アイスが動機付けとなって
宿題をこなせば
アイスが出て来なくなれば、終了。
アイス、ではなく愛する両親が
自分を正当に評価してくれて
惜しみなく褒めてくれる
宿題1つをめぐってこんなにも
人生が左右されていきます。
伝え方…こんなに大切なのです。
さて、今回
親が子に伝えたかった内容は
全て同じ
「宿題をすること」
なのですが
伝え方によって
心をマイナスの方向に動かされて
もう宿題なんてしたくない!!
と思ってしまった場合と
宿題って素晴らしい!!
と思えた場合
という様に
大きな開きが出てしまいました。
この方法は
会社内での人間関係
恋愛で相手との関わり方
友人との関係構築
などなど
全ての場面で有効です。
伝え方や、その時使うと響く言葉は
1つ1つのケースによって
異なります。
そう、伝え方で全てが決まる
と言ってもよく
伝え方が9割…どころか
伝え方は10割(ほぼ)
と、実感できる心理学のお話でした。
鑑定でお話ししましょう。